マレーシア(UPM)留学と理系大学院のブログ

2018年9月から2019年2月までマレーシアに留学していた理系大学生です

13.世界大学ランキング202位の大学で勉強していますが...

Selamat pagi!

私が現在勉強しているUPMは,QS世界大学ランキングで202位となっています(2020年は159位!!).私が所属する日本の大学は,571-580位です.今回はこの2つの大学を比較してみたいと思います.UPMで所属しているのは環境学部環境科学技術学科で,日本の大学で所属しているのは農学部環境科学学科(みたいなところ)です.ちなみにUPMの環境科学でのランキングは101-150位で,私の大学は環境科学のランキングにはそもそも載っていません.

(私の大学は理系学部しかないので厳密な比較はできないと思われますが,思っていることなどまとめていきます.)

 

www.topuniversities.com

 

UPMの今の印象

留学前は,「自分の大学よりももっと上のレベルの大学に留学できる」と喜んでいました.しかし今は「正直言って自分の大学のほうが2倍レベルが上である」と感じています.

 

授業内容

レベルは低いです.

学習内容が日本より1年以上遅れています.そんなのどうでもいいでしょ!ということも説明します.良く休講になって授業が進まないものもあります.

実験では,万能測定器を使って試薬を混ぜてボタンを押して数値を読むだけです.原理を誰も説明しません.

感覚的には,基礎をおろそかにして応用技術を主眼にしている感じです.この教授頭よいなーと思える人に私はまだ出会っていません.

追記:学科長の授業を取ったら,とても頭が良く面白い先生でした!もう退職らしいけど...

 

学生のレベル

かなりレベルが低いです.本当にびっくりしました.

バイオレメディエーションの授業で,化学物質の微生物による代謝過程をグループごとに発表しました.その中で芳香族置換基パターンの,オルト-,メタ-,パラ-の位置について先生が学生に質問したのですが,一人を除き答えられませんでした.環境科学を学んでいる人ならば知らないとまずいです...

排水処理の授業では実験をしてレポートを書いています.現地学生は3年生なのに安全ピペッターやホールピペットメスシリンダーの使い方を知らない.滴定の実験にも関わらず,共洗いをしない.TDとTCの概念を知らない.目盛を10分の1まで読まない.有効数字を全く考えない.濃度測定でマイナスの値が出ても誰も再実験しようとしない.8人程度のグループで実験を行っていたのですが,誰も指摘しないのです(2人いる50歳程度のTAもただ見ているだけ).

レポートでは,考察に結果が書いてあったり,結果が他のグループと正反対だが構わずに平均していたり,表番号や表の名前がなかったり,1 ㎜も考察していなかったりなどなど...

いろんな授業で何回もプレゼンをしているのですが,そのプレゼンの出来がひどいです.マレーシア人はデザインが好き(?)みたいで,変な背景を使ってしまうので非常に見にくいです.また,化学反応の経路を発表するときに,ネットから引っ張ってきた画像を使って編集せずに張り付けているので,字が豆粒サイズで何も見えないなんてのもざらでした.

 

こんな光景を見てしまうと,マレーシアから出ている論文は信用できるのか??なんて思ってしまいます.それほどびっくりしました.

 

東南アジアに正規留学するのはお勧めできない

日本の学生は主に英語力向上のために,東南アジアの大学へ短期留学することが多いと思います.短期留学で東南アジアに行くのは良いと思います.だけどもし,「UPMで4年間学びたいのだけどどう思う?」と聞かれたら,「やめたほうがいい」と言います.UPMで4年間学んだとしたら,日本の大学の半分程度の知識しか得られないでしょう.シンガポール国立大学をはじめ,シンガポールは違うと思いますが,これは他の東南アジアの大学にも共通すると思います.

英語能力は確実に上がるから短期留学なら本当にお勧めです!!

 

と言っていたのは5年前でした

上に書いた内容は、留学して半年くらいたった時に書いたものです。2024年の今見てみると、かなり理系、そしてアカデミア志向の人に向けたメッセージであることに気が付きました。

そこで、今の気持ちを書いてみることにしました。現在は日本人がマイノリティな国際的な大学院で、理系のPhD学生をやっています。

 

基本的なスタンスは変わっておらず、東南アジアへの短期・中期留学はとてもおすすめです。ただ、基本的に大学、学生、社会の成熟度は欧米諸国の方が高いため、欧米を選択することができる人はそちらの方が良いと考えています。しかし何と言っても、東南アジア留学はかなりコストを抑えつつ英語使用圏で学習できるというのが重要な点です。日本円が弱い現状では、欧米諸国への留学の際に満足な食事もできない、なんてことになるかもしれませんが、東南アジアの場合なら自分でバイトして稼いでおけば余裕のある短期・中期留学が可能であると思います。

 

自分の場合、正規留学(入学して卒業する)として、東南アジア(シンガポールを除く)の大学を選ぶことは、第一候補に挙げることはありません。理由はこの記事に書いた通りです。しかしながら、この考えが生まれる根底に固定観念があることに気が付きました。というのも、東南アジアでの就職、または欧米諸国の大学院への留学を行いたいのであれば、この考えは適用されないからです。また、日本の微妙なレベルの私立大学に行くのであれば、(お金があるなら)東南アジアに留学したほうが絶対良いとは思っています。

ゆえに、東南アジアへの正規留学を個人的におすすめできるのは、お金があってなおかつ以下のような人が当てはまると思います。

  • (学力・金銭面で)欧米諸国の大学へ進学できそうになく、日本でも微妙な大学にしか入れなさそうな人
  • 東南アジアで現地企業もしくは国際的な企業に就職しようと思っている人
  • 欧米諸国の大学院への留学を志望し、英語能力を特に上げておきたい人(特に文系?理系の場合、絶対日本の方が良い)
  • こんな記事を信じないで自らの信念をもって突っ走れる人