マレーシア(UPM)留学と理系大学院のブログ

2018年9月から2019年2月までマレーシアに留学していた理系大学生です

14. 50万人が人種差別を祝う国,マレーシア

12月6日に在マレーシア日本国大使館より,以下のメールが送られてきました.

 

○ 12月8日(土)午後1時から6時までの間、クアラルンプール市内中心部「ムルデカ広場(Dataran Merdeka)」及びその周辺道路等において、人種差別撤廃条約(ICERD)に対する政府決定を祝う集会が開催される予定です。

○ 当初、条約加入への反対集会が企画されていましたが、マレーシア政府が加入しないとの決定を発表したため、現在はこの政府による決定(加入反対派による運動の勝利)を祝う集会に変更されています。

○ この集会は相当大規模になる可能性があります。多くのNGOや、野党UMNO、PASなどの党員が参加予定のところ、一部報道では50万人規模になるとの情報もあります。

 

驚くべきことに,人種差別撤廃条約加入しないことを祝うのです.50万人が差別をすることを祝うのです.マハティール首相率いる現政党は加入することを公約としていたのですが,結局マジョリティのマレー人に阻止されてしまったのでしょうか.

 

同条約の批准は新政権の多民族融和政策の象徴となるはずだったが、マレー系優遇の維持を訴える野党だけでなく与党内からも異論が出て行き詰まりつつある。華人政党も加わる与党連合にとって民族問題はアキレスけんになりかねず、マハティール首相は難しいかじ取りを迫られる。(日本経済新聞,2018年12月6日閲覧) 

www.nikkei.com

 

人種差別撤廃条約は現在179の国と地域が批准しており,批准していない国はマレーシア,台湾(国連未加盟),ミャンマーブルネイ北朝鮮南スーダンミクロネシア付近の島々のみです.

ここまで差別が大きいとは考えていませんでした.ブミプトラの友人に会うと複雑な気持ちになります.ブミプトラ政策について聞いてみたいですがもちろんできません.→後で聞いてみました:マレー人の彼にとっても,平等でないことは許せないとのこと.彼はこの状況を変えたいと強く語ってくれました.

 

【追記】

マレーシアの新聞,Malay mailによるとピークでは少なくとも公式発表である55,000人の二倍の参加者(110,000人)がいたそうです.

これは完全に推測ですが,ICERD(人種差別撤廃条約)へ賛成の立場の人々は,対抗集会をほとんど開けなかったのではないでしょうか.集会の安全を守る警察は,ほとんどがICERDに反対する人が多いマレー人なのですから.もう4か月以上マレーシアで暮らしていますが,中華系の警察官を見たことがありませんし,malaysia policeでグーグル画像検索をかけてみたら,上から50枚の写真の中に中華系は3人しか発見できませんでした(マレー人は150人くらい).

 

Malay mailは悲しいことを書いています.

Human rights

Because of the unfortunate timing of its Human Rights Day celebration that was initially scheduled today, the Human Rights Commission of Malaysia (Suhakam) was forced to defer its event to tomorrow.

Worse, Dr Mahathir, initially slated as keynote speaker at the Human Rights Day celebration, said he would not even attend the event by the statutory body tomorrow because it accepted ICERD.

Suhakam and many activists felt that the police should have facilitated its gathering today instead of asking them to give way to the anti-ICERD demonstration.

One viral message goes, “There are two rallies on Dec 8. One for human rights, the other for human wrongs.”

Malaysia chose the latter.

 

世界人権デーの祝賀は元々今日(12月8日)予定されていたのだが,不幸なことにマレーシア人権委員会はそれを明日(12月9日)に変更することを強制された.

さらに悪いことに,当初、人権の日の記念日に基調講演者に予定されていたマハティール博士(マハティール首相だよね?)は、国がanti-ICERDを受け入れたため,明日の法定機関によるイベントにも参加しないと語った.

Suhakamと多くの活動家は.警察がanti-ICERDデモへの道を譲るよう求めるのではなく,今日の人権委員会の集会を容易にすべきだったと感じた.

あるメッセージが広まった.12月8日には2つの集会がある.一つは人間の権利のために.もう一つは人間の過ちのためのものだ.

マレーシアは後者を選んだ.

(日本語訳は著者.不正確さは承知ください.)

www.malaymail.com